すべてを受けとめてきた。
これからもずっと。


狸谷不動明王300年祭とは

1787 年刊行の『拾遣都名所図会』の中に「狸谷石不動」という一節があります。それは、「一乗寺村天王より艮十町余にあり 行路嶮岨なり 高さ二丈深さ二丈許の石窟あり 中に石像の不動尊を安置す 長五尺許 木食正禅の立る所なり窟の口に扉あり 高さ四尺許厚さ一尺余 表に木食正禅朋厚と鐫す 霊験いちじるしくてつねに詣人多し 此地四隣峭壁にして谷深し 樹林蓊鬱として白日を蔵す」と。樹木鬱蒼とした三つの峰に囲まれた狸谷霊山。木食正禅朋厚は、その深い谷に二丈四方の石窟を発見し、木食行実践の為その石窟(現在の本堂内陣)に入山します。時、享保3年(1718)。その谷の名は「狸谷」。

そして入山まもなくして、木食正禅朋厚は現世利益のために、その石窟に狸谷不動明王を安置したのです(京都奉行所へは享保8 年正式に安置届出)。それ以来、この霊験著しい狸谷不動明王への祈りの法灯が現在に至るまで絶え間なく続き、平成30年(2018)、狸谷霊山開創300年を迎えました。しかし、この300年という時間の中で、昭和19年(1944)に狸谷山不動院中興第一世貫主亮栄和上が入山するまでの約230 年間は、ほとんど人の手が入らず、石窟に安置された狸谷不動明王への祈りだけが脈々と継承されてきました。その祈りは、親から子へ、人から人へと繋がる「心の繋がり」であり、この膨大な時間が途切れることなく、その「祈り」だけが時代を越えて継承されてきたことに大きな意義を感じざるを得ません。狸谷霊山は、「祈り」という宗教的生命が生き続けるお山です。狸谷不動明王は数々の【霊験伝説】を生み出し、その「祈り」を捧げる皆様方に新たな道をひらけてこられました。

そこで、平成30年(2018)を「狸谷不動明王300 年祭」開白の慶祝年とし、狸谷不動明王に向き合うことで、心の基底にある普遍的な「祈りのこころ」と「神仏対峙」の意義を発信してまいりたく存じます。

宗教の根源とは何なのか。この本質的な問いにドイツの宗教学者F・J・ハイラ―は、著書『祈り』の中で次のように答えています。

『一切の宗教の心であり、その中心点にあるのが「祈り」である。その「祈り」の中にこそ我々は本来の宗教的生命を捉えるのである。』

狸谷霊山が開創した頃は宗旨宗派もなく、ただ我々の心の基底にある普遍的な「祈りのこころ」だけが狸谷不動明王に捧げられていたのです。

「一子相伝」という言葉があります。親から子へ、そしてまた親から子へ、その思想・技術の奥義を伝える文化が、この京文化を支えてきました。おそらく、この一子相伝文化の中に、その「祈りのこころ」も伝えられたのではないでしょうか。

京都は無数の神仏が宿る街です。そんな中、今年狸谷霊山は開創300年を迎えました。この300年の法灯が絶えることなく継承されたのは、この狸谷霊山に「祈りのこころ」が生き続けてきたからです。

狸谷不動明王はすべてを受けとめてきた。
そして、これからもずっと。

真言宗修験道 大本山狸谷山不動院
貫主 松田亮海


木食正禅朋厚の足跡

  • 1687年(貞享4年)

    丹波国南桑田郡保津村にて出生、幼名は村上茂八郎

  • 1710年(宝永7年)

    泉涌寺雲龍院にて得度。朋厚房正禅を名乗る 24歳

  • 1711年(宝永8年)

    高野山に入山し、木食恵昌上人より木食行の伝授 25歳

  • 1715年(正徳5年)

    念佛聖の行道を実践し、厳冬寒夜を選んで京洛の無縁墓地「六墓五三昧」を廻り、無縁精霊の回向を3年間続ける。このころから一乗寺狸谷石窟の参籠が始まる記録があり、京洛と山中石窟との行き来が険しい修行になったと考えられる

  • 1717年(享保2年)

    寒念佛行満行にあたり各墓地に供養石塔を設置する。現存するのが三条・山科日ノ岡交差点北側の「南無阿弥陀仏」石塔がある

  • 1718年(享保3年)

    念佛行満行により、京都奉行所に一乗寺狸谷石窟参籠を正式に出願し狸谷開山となる 後に石像不動明王(狸谷不動明王)を安置し大衆より多大なる信仰を得たが、奉行所より下山命令が下される 31歳

  • 1719年(享保4年)

    金銅六丈阿弥陀像建立を発願し、翌年洛東真如堂に安置する

  • 1720年(享保5年)

    京都奉行所に一乗寺狸谷石窟参籠の再出願をし、許可される

  • 1723年(享保8年)

    京都奉行所に一乗寺狸谷石窟に石像不動明王(狸谷不動明王)の安置を正式に出願し許可される。 再参籠後は、作仏の行法に入り、石像不動明王(狸谷不動明王)のもと狸谷詣の礎を築く 34歳

  • 1727年(享保12年)

    狸谷詣の礎を築いた木食正禅朋厚は、自ら狸谷を下山し次の行法拠点として清水五条坂の安祥院再興を計画、同院に本尊阿弥陀如来像を自刻し安置する

  • 1734年(享保19年)

    東海道最後の難所「日ノ岡峠」改修を公儀に願い出て、翌年着工。車石・車道を設置する 48歳

  • 1741年(寛保元年)

    梶井宮より法橋上人位を授与され、「木食養阿上人」を名乗る 55歳

  • 1747年(延享4年)

    渋谷峠改修工事 坂道四十八間を改修 61歳

木食養阿上人は寺社を構成する組織に所属する宗教者ではなく、自立性に富み、地域社会に密着した庶民信仰の僧である。


特別記念

  • 特別洞窟内陣参拝

    5月3日(祝)〜11月3日(祝)の期間特別開放。木食上人が300年前に不動明王を安置し、木食行を実践した洞窟。300年前と変わらぬ、不動明王を間近で参拝いただけます。

  • 300年記念御朱印

    300年祭期間中、通常の御朱印と合わせて、 300年特別御朱印をご準備しております。

    特別御朱印代:1千円

  • 限定千社札プレゼント

    300年祭期間中、入山料をお納めいただいた皆様に300年特別千社札をお渡ししております。数に限りがございますので、お早めにどうぞ。

  • 特別祈祷のお知らせ

    300年祭の慶祝期間であるの185日間、当山貫主が狸谷不動明王御宝前にて毎日大護摩を修法します。(毎日11時)この特別祈祷では、185座の護摩修行の浄火でお加持した大祈願札を結願の11月3日にお渡しします。大祈願札は、狸谷山の御霊水と護摩の灰を混ぜた浄墨でお書きします。

    祈祷料:30万円

    祈祷期間:185日間 (祈祷開始:5月3日 祈祷満願:11月3日)
    ※詳細及びお申込はお電話でお願いいたします。

    お申込〆切:4/30


イベント情報

  • 2018

    05/03

    大般若経転読 開白大護摩法要

    狸谷不動明王300年祭の開白を慶祝し、当山貫主導師による護摩が焚かれ、600巻におよぶ大般若経を転読という独特の方法で読み上げます。途中、参拝者全員で般若心経をお唱えいたします。(参拝自由)

    当日参拝された方には、健康増進の大般若祈願札を差し上げます。(無料)

    日時:5月3日(祝)午前11時

  • 2018

    05/11

    結縁灌頂式

    お不動さまの前で恭敬礼拝し、正式にご縁を結ぶ真言密教の儀式です。受戒者は正しい拝み方と院号をお授けし、お不動さまの印を結ぶことが許されます。これによって、日々充実した生活と共に菩薩道を歩むことが出来ます。また、受戒者は300年記念のお袈裟を授与いたします。

    日時:5月11日(金)午後1時 本殿内
    受戒料:10万円
    対象者:満18歳以上の心身健康な男女

    すでに結縁灌頂をお受けの方も、重ねて受戒出来ます。申込方法:本殿受付もしくは、現金書留にて住所・氏名(戸籍名)・年齢・性別・電話を明記して「狸谷山結縁灌頂係」まで。

  • 2018

    05/12 - 05/13

    大峰山 入峰修行

    現代の生活に慣れきった私達ですが、年に一度は大峰山の自然の力に触れながら、自分を見つめなしては如何でしょうか?初めての方や、お一人でのご参加の方もたくさんおられますので、お気軽にお申し込みください。

    日時:5月12日~13日(土・日) 雨天決行
    集合:京都駅八条口または近鉄『橿原神宮』中央改札前
    参加費:2万4千円(3食付)
    定員:25名
    参加資格:女子禁制の山のため、男性のみ
    申込方法:本殿受付もしくは、お電話でお申し込み下さい

  • 2018

    05/27

    木食上人の足跡を巡る日帰り歴史ロマンツアー

    貫主 松田亮海同行。木食上人とは狸谷霊山を開山された江戸時代の僧侶です。当山開山だけではなく、京都の土地にゆかりのある方ですので、この慶祝の年に、木食上人の足跡を巡る日帰りツアー企画しました。ご家族、ご友人お誘い合わせの上、ご参加下さい。

    日時:5月27日(日)
    参加費:8千円
    申込方法:参加ご希望の方はお電話でお申込下さい
    申込〆切:平成30年5月13日(日) 
    ※定員に達しましたら早めに締め切る場合があります。

    行程:京都駅八条口集合→安祥院→日ノ岡交差点石碑→三条通り車石→日ノ岡峠亀の水不動尊→真正極楽寺(真如堂)→ホテル平安の森京都(ご昼食)→狸谷山不動院→松明稲荷神社→京都駅八条口解散

  • 2018

    06/16 - 06/24

    透明回線「ライブペインティング」

    透明回線とは、大阪芸術大学内にて映像クリエイター、デザイナー、イラストレーターの3人で結成され「アナログ×デジタル」「絵(視覚)×音(聴覚)」「空間総合演出」この3つを柱に据え、新しいライブパフォーマンスを構想した。透明回線のライブアートは変化する。あらかじめの完成図は想定されず、現場の空気感、観客の視線、声、3人はそれぞれ思惑を口には出さず内に秘め、互いに干渉し合い、揺れ動きながらキャンパスは密度を増していき、即興で演奏される電子鍵盤の音色はその空間を1つに纏める。そして一見完成された絵はプロジェクションマッピングにより、さらに表情を変え様々な不確定要素を含ませ制作することで、ただ1枚の絵の進行を目で追うだけではなく透明回線のライブアート空間そのものを肌で感じてもらうことを意図している。

    日時:6月16日(土)12:00~
    ・ライブペインティング

    日時:6月16日(土)19:00~
    ・プロジェクションマッピング

    日時:6月17日(日) - 6月24日(日)18:30~21:00
    ・夜の特別拝観
    ・プロジェクションマッピング

  • 2018

    土日の指定日

    写経会

    300年祭期間中の日曜日に写経会を開催いたします。経典の中でも、特に親しまれている「般若心経」を写経していただきます。そして、書写された写経はお護摩の火によって清められます。当山僧侶により、ご指導をさせていただきます。写経が終わりましたら、奉納式、お茶(菓子つき)、特別御朱印をご用意しております。みなさまのご参加お待ちしております。

    日時:5月3日(祝)~11月3日(祝)の指定日
    (詳細はWEBまたは、お電話にてお尋ねください。)
    参加費:2千円

    前日の午前中までの完全予約制とさせていただきます。受付もしくは、お電話にてお申し込みください。

アクセスについて

拝観・開館時間 午前9時〜午後4時
休日・休館 無休
料金 入山料:500円
車でお越しの方

■名神高速道路

京都南インターより 約40分
京都東インターより 約30分

駐車場情報
自家用車 150台分
マイクロバス 20台分
※駐車料金は無料です。
※祭礼時には混雑することがございます。
交通機関でお越しの方

■《最寄駅》 市バス

一乗寺下り松町より徒歩15分
叡山電車:一乗寺駅より徒歩20分